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まったりゆっくりな活字中毒者のブログです
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『彗星の住人』 島田雅彦

彗星の住人―無限カノン〈1〉 (新潮文庫)


一八九四年長崎、蝶々さんと呼ばれた芸者の悲恋から全てが始まった。息子JBは母の幻を追い、米国、満州、焼跡の日本を彷徨う。三代目蔵人はマッカーサーの愛人に魂を奪われる。そして、四代目カヲルは運命の女・麻川不二子と出会った刹那、禁断の恋に呪われ、歴史の闇に葬られる。恋の遺伝子に導かれ、血族四代の世紀を越えた欲望の行方を描き出す画期的力篇「無限カノン」第一部。


 まず表紙に惹かれて手に取った本。それから文庫の紹介文を読んで一目惚れした本。さらに読み終わってから惚れこんでしまっていることに気づいた本。
 日本の百年を切り取った恋の物語です。


―――戦争も政治も陰謀も全て、恋と結びついているのです。でも、歴史は恋を嫌う。本当は恋と無縁の歴史なんでありはしないのに。(本文P308、3行目より)

―――旅は君が生まれるはるか以前、曾祖父の代から始まっていた。リレーでもしてるみたいに旅のバトンは祖父に渡り、父に受け継がれ、そして君に回ってきた。君の一族の旅はもう百年以上に渡って続いている。(本文p8、6行目より)


 一人称でもなく、三人称でもなく、二人称の文体。噂には聞いたことありましたけど、読むのは初めてでした。でも別に終始それというわけでもないし、物語を占める回想は三人称なのでそこまで違和感は無かったです。むしろ新鮮でおもしろかった。

 物語は、旅に出て行方不明の父親を探す「君」が父親の話を聞くために伯母の家を訪ねる所から始まります。
 そこで盲目の語り部から聞く一族の壮大な恋の物語。引き裂かれ、忘れ去られ、未だ続いている恋の数々・・・
 タイトルを見たときは一瞬SF物かなー、と思ったんですが、読み終わってみたらすごい納得なタイトル。上手く言えないですけど、恋をする人々は、地上の人間じゃなくて宇宙の彼方の塵と同じなのかもしれません。

 まだ第一部なので早いトコ本屋さんで『美しい魂』買ってきます。この時点でまだ1/3だなんて、ちょっと呆然・・・。続き楽しみです。
 島田さんは初読みなのになんでこんな懐かしいんだ・・・?不思議です。
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『図書館戦争』 有川浩

 正化34年、1月。敦賀原発にて大規模テロ発生。
 全国に衝撃が走ったその日は、郁と堂上の約束のデート決行日でもあった。
「お、遅れてすみませんでしたっ!」
「私服で敬礼するな!しかも外で!」
 しかしそんな中で二人の携帯に同時に着信が入る。
「緊急事態?」
 テロが図書隊までひきおこした余波とは―――?
 危機奪回の案は、なんと信じられない人物の口から出た!
「すでに怒ってるじゃないですかーーーーーー!!」
―――図書隊、最大の任務!堂々の最終巻!

 ってなわけで、走りまくりのノンストップアクション堂々の完結!!気合入れて読みましたとも!(笑)
 今回は初っ端からギアすっとばしてましたねー。息つく暇も無いというか、一回読み出したら止まれないというか。一気に読み上げました。
 今回も熱かったです。私これほど登場人物が叫んでる本、他に1、2冊しか知りません。
 とにかくスピード感がすごくて、最後まで結末が全然わからなかったです。ハラドキの急展開に次ぐ急展開。途中で心臓止まりかけた所が1、2箇所程・・・(笑)特に後半!しおり挟む隙間もありませんでした!
 最終巻は一冊まとめて一つの話でしたね。『未来企画』がどうでるか、良化委員会の策略、最後の最後に郁の手にゆだねられた作戦。もちろんいつも通りラブ要素満載。(笑)最後の最後まで楽しめました。
 つっこんだ感想書くとすぐにネタバレになってしまうのですが・・・。
 検閲、差別語、みたいな事についてまったく関心が無かった私に、考えるきっかけを与えてくれたのがこのシリーズで。
 完結した今も、最初に一巻を読んだ時と感想はまったく同じです。
 やっぱ、本って大切だよね・・・。

 以下、ネタバレ&叫び注意。オープンモア&反転でお願いします。やたら長いです。

『上と外』 恩田陸

両親の離婚で、別れて暮らす元家族が年に一度、集う夏休み。中学生の楢崎練は小学生の妹、母とともに、考古学者の父がいる中央アメリカのG国までやってきた。ジャングルと遺跡と軍事政権の国。そこで四人を待っていたのは「軍事クーデター」だった。離れ離れになる親子、二度と会えないかもしれない兄と妹!密林の中の謎の遺跡と神秘の儀式。絶え間なく二人を襲う絶体絶命のピンチ。ノンストップの面白さで息もつかせぬ1350枚。

 クーデターに巻き込まれた家族の兄と妹が、ヘリから堕ちてジャングルに取り残さる話です。(簡潔すぎ? 実際ネタバレせずに紹介するの凄く難しい話だと思います。)
 次にどうなるのかまったく予測がつかない臨場感。ただの冒険小説だけで終わらせない凄さ。しおりを挟む隙が紙一枚も見つからない吸引力。
 やっぱり恩田さんの本の中では麦海と1、2を争うくらい好きです。
 麦海とは150度も違う話ですが、やっぱり芯というか根っこに流れてる恩田さんらしさは同じ。
 恩田さんの書く本が本当に色々なジャンルでもたくさんの人に受け入れられてるのは、この底に流れてる独特の雰囲気のせいだと思います。
 ニコ好きです。恩田さんに「最強キャラ」といわせしめた彼・・・(笑)確かに最強です。その後話なんてのが読みたいなぁ。出てるんですかね?
 マヤ文明は昔から好きだったんで世界不思議発見を見るたびにミステリーハンターになりたいと本気で思ってました。上りたいなぁー。良いなぁー練。一回世界遺産めぐりやってみたいです。
 地下都市での成人の儀式は本当に臨場感があって、まさに手に汗握る!って感じでした。手に汗かきすぎてブックカバー湿ってましたもん。(笑)私だったら三日間もあんな緊張の中で耐えられないなぁと思いました。
 「これが最悪」と思うことを何回もひっくり返してくるような冒険小説は読後感がスッキリして良いですよね!くはー南米行きたいです!(流石に練とチカみたいに突然放り出された上に妙な儀式に参加させられるのは嫌ですが・・・笑)
 恩田さん、次あたりインカとか書きますよね?NHKスペシャルの本でちょこっと触れてた飛ぶ少女の話が読みたいです・・・!
 とりあえず恩田さん再読月間なので色々読み返して行ってます。ユージニアが読みたいな!
 時間無いので物凄い駆け足で雑感。いつかじっくりゆっくり語りたいです。

『ねじの回転』 恩田陸

「不一致。再生を中断せよ。」近未来の国連によって、もう一度歴史をなぞることになった2.26事件の首謀者たち。彼らは国連の意図に反して、かつての昭和維新を成功させようとするが。恩田陸渾身の歴史SF大作。

 「もしも」が存在するとしたら。その時人類のする行動とは・・・。
 恩田さん、恩田さん、恩田さん、恩田さん!って感じでした。
 SF、ファンタジー、ミステリ、ホラー、全てを最高級で仕上げてきて、その道のファンも納得させてなおかつ一般読者にも食らいつきやすい。・・・みたいな事が文庫版の解説に書かれてあって、ものすごく納得。
 オールマイティーというか、本当、恩田さんってすごい・・・。とあらためて思った一冊。
 でもやっぱり夜には読みたくないかな!(笑)



本物にしか見えない件について。



『クドリャフカの順番―「十文字」事件』 米沢穂信



さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリの傑作第三弾。
待望の文化祭。だが、折木奉太郎が所属する古典部では大問題が。手違いで文集を作りすぎてしまったのだ。古典部の知名度を上げて文集の完売を目指すため、奉太郎たちは学内で起きた連続盗難事件の謎に挑むことに!


 前までのシリーズはずっとホータロー視点だったのが、今回の場合は古典部員のそれぞれの視点でかかれてます。
 ホータロー大好きな私としては、案の定今回も千反田さんに振り回されてる彼に悶えてました。(笑)ホータロー!ホータロー!
 『氷菓』、『愚者のエンドロール』と文庫版で買ってたのですが、今回は何故かハードカバーサイズなので断念・・・。機会あったら買いたいです。
 確実に完売無理!と思われていた山積み「氷菓」がいかにして売れていくのか。福部の宣伝+女帝入れ知恵千反田のお願い作戦+ホータローの頭脳戦。はたして一番効果あったのはドレだ?!(考えるまでもなくホータローですが)
 前回までさほど気になっていなかった、自称「データーベース」の福部が今回ちょこっとだけ好きになりました。てか結局お前麻耶花大好きなんじゃん!!(笑)
 米沢さんの本は、軽快なテンポで進んでいく中でちょこっとだけ寂しさを覚えさせるようなものが多いです。ほろ苦い青春ミステリ、なんてこれほどピッタリ合う文句は無いと思う。
 有川さんもですが、米沢さんといい桜庭さんといいラノベ出身で活躍していらっしゃる作家さんが最近多くなってますね。ラノベが世間的にも認められてきたということなのでしょうか・・・?

 というか、本の感想が殆ど一月に一回のペースになってしまっている。(笑)
 ちゃんと更新しなくちゃねー・・・。

次→『見えざるピラミッド』!!
 ついでに清水シリーズの文庫版もそろえられたら良いと思う今日この頃。
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